かもめの英語ハッピーブログ

英語講師、翻訳者、元外資系航空会社客室乗務員のkamomeskyが、英語学習法、実践の記録、日々の気付きなどについて日本語と英語で書いています。

メイ首相の辞任表明とcompromise

週末からずっと、トランプ大統領が来日する話と季節外れの暑さのニュースばかりでしたが、その間に、イギリスのメイ首相が辞意を表明したことも報道されていました。

その様子を動画で見ていたのですが、声明文の中で使われた、ある単語が印象的でした。

“It will be for my successor to seek a way forward that honours the result of the referendum. To succeed, he or she will have to find consensus in Parliament where I have not.”

国民投票の結果をどう尊重するか、その方法を決めるのは後任者です。成功するには後任者は議会での合意を見出さなくてはなりません。私にはできなかったことです)

 

“Such a consensus can only be reached if those on all sides of the debate are willing to compromise.”

(そのような合意形成は当事者全員に妥協する用意がある時にのみ成し得るのです)

この中の compromise が強調されたように聞こえたのです。

続きを聞いて、その理由がわかりました。

“For many years the great humanitarian Sir Nicholas Winton – who saved the lives of hundreds of children by arranging their evacuation from Nazi-occupied Czechoslovakia through the Kindertransport – was my constituent in Maidenhead.”

(偉大な人道活動家のニコラス・ウィントン卿は―ナチス占領下のチェコスロバキアからKindertransport(子ども輸送)により(イギリスへの)避難を手配し、何百人もの子どもたちの命を救った人で―長年にわたり私の選挙区Maidenheadの有権者でした)

 

“At another time of political controversy, a few years before his death, he took me to one side at a local event and gave me a piece of advice.”

(彼が亡くなる数年前、やはり政治的に極めて混乱していた時期に、地元のイベントの際に私に助言してくれました)

 

He said, ‘Never forget that compromise is not a dirty word. Life depends on compromise.’ He was right.

(「『妥協』は汚い言葉ではないことを決して忘れないで。生きることは妥協することだ」と。彼は正しかったのです)

ウィントン卿は「イギリスのシンドラー」と呼ばれた人ですが、あまり日本では知られていないかと思います。

(『くまのパディントン』の原作者のマイケル・ボンド氏は、避難してきた子どもたちが名札を首からぶら下げ、スーツケースを持ってたたずんでいる姿をニュースで見たことがあり、それがインスピレーションとなってパディントンのキャラクターが生まれたと語っています。)

2010年はこの児童救出から70周年となり、その記念に、助けられた人たちが当時と同じ経路(プラハーロンドン)を蒸気機関車でたどり、ウィントン卿が出迎えたことが報じられました。そのニュースで、ウィントン卿の偉業について知りました。

そのウィントン卿の言葉なら、「Life depends on compromise」には一層重みを感じます。その言葉が選ばれた歴史的背景を知ると理解が深まりますし、いばらの道を進んできたメイ首相の、思いの一端を知ることができるようにも思うのです・・・。

 

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