飛び恥。飛んでいた私が見たものは。
毎日暑いですね。久しぶりになってしまいましたが、やっぱり飛行機の話を。
NHK「実践ビジネス英語」講座の直近の2つのトピックが、プラスチック問題と観光公害を扱ったものでしたが、これに関しては、航空業界は guilty as charged だと思っています。毎回といっていいほど太平洋を横断していた客室乗務員経験者として、痛感しているところです。
乗務して最初にショックを受けたのは、機内で発生するゴミの多さでした。さっき配ったプラスチックのカップが、次に通路に出る時にはすべて「ゴミ」に変わっているのです。機内には、冷たい飲み物用の透明なプラスチックのカップと、温かい飲み物用の白い発泡スチロールのカップ(私たちは stylo:スタイロ と呼んでいました)が、たくさん重ねた形で縦長のビニール袋に入って搭載されているのですが(プラスチック製品ばかりですね)、これが飛ぶように消えていくんですね。
機内へのペットボトル持ち込みが禁じられる以前は、機内でペットボトルを1人1本配るということはしていませんでした(*会社によって異なります)。そのため、30分に1回は「water walk」といって、水差しを右手に、カップを載せたミニトレイを左手に(ああ、どれもプラスチック製)、通路を歩いてお客様に配る決まりでした。脱水対策です。これだけでも大量のプラスチックごみが出ます。カップを配っているんだかゴミを配っているんだか・・・。
ギャレー(*)にはゴミを収納するカートもあるのですが、あまりにもかさばるゴミを小さくするために、その中にクルーが入り(!)、上からおみ足で踏んで圧縮するという、お客様には絶対に見せられない光景を何度も目撃しました(アメリカの航空会社には驚かされっぱなしでした)。
(*ギャレー:調理室と呼ぶ方がありますが、乗務員は調理せず温めるだけなので、そのようには呼びません。中東系エアラインでファーストクラス用に機内で調理しているところがあるようです。)
機内で私を怖がらせたプラスチック話はまだありますが、今日はこの辺で。
これに加えて、食べ残しが避けられない機内食、エンジンからの排出ガス、万一離陸後の早い段階で緊急着陸する場合の燃料の空中/海上投棄。そして、飛んでいなければ駐機料がかかるだけの金属の塊ということで、ひっきりなしに飛ぶ宿命にある機体。機体が退役した後、最後は砂漠に放置です。どこまでも環境に負荷をかけますね・・・。
そうしてせっせと運んだ大量の観光客が環境公害を起こすのも、避けられない結果と思われます。なんだか悲しくなる元客乗です・・・。
そんな中、最近「飛び恥」(flygskam)という言葉を知りました。flygskamはスウェーデン語。飛行機より環境への負荷が少ない鉄道や船での移動を呼びかけるもので、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが提唱して、ヨーロッパなどで広がっているそうです。
「飛び恥」運動は定着するでしょうか? 島国の日本にとって、かなり challengingなことは確かです。
トゥーンベリさんは国連での気候サミット2019に出席するために、ヨットで大西洋を横断するそうです。飛行機を使わないために。
Greta Thunberg sets sail on zero-carbon Atlantic voyage
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